雪の降る日に、願いを消して
早退する
駿は二重人格かもしれない。


そう思うと教室へ入ってからもあたしは落ち着かなかった。


チラチラと駿の事を目で追いかけて、その様子を確認してしまう。


駿が桜子と仲良く会話をしている姿を見るたびに、自分の入る隙間なんて本当にないのだとわかり、胸がチクチクと痛んだ。


昼休み中に寒い屋上に出ていたことが災いしたのか、5時限目が始まってすぐあたしは自分の体調に変化を感じていた。


体がだるい。


熱が出た時と同じような寒気を感じる。


駿の事で頭が一杯で、屋上に出ている間に体がすっかり冷えてしまった事に気が付かなかったのだ。


「ごめんなさい、体調が悪いので保健室に行かせてください」


国語の先生に許可を取り、1人で教室を出た。


誰もいない廊下をフラフラと左右に揺れながら歩いて行く。


病み上がりなのに屋上でご飯を食べただなんて知られたら、きっと両親に怒られてしまうだろうな。


そんな事を思いながら保健室へ入った。


あたしの顔色を見た瞬間、保健室の先生は慌ててベッドのカーテンを開けてくれた。


あたしは倒れるようにしてベッドに横たわる。
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