雪の降る日に、願いを消して
昨日との違い
あたし達が教室へ入ると、クラスメートたちが黒板にラクガキをしていた。


ここ数日で朝のラクガキは定着してしまったようだ。


中には自分専用のチョークを持参してくるクラスメートもいる。


そんな中、あたしたちはすでに登校して来ていた駿と桜子に視線を向けた。


2人は寄り添うように窓辺に立って、囁くように何か話をしている。


「昨日の駿はどうだったの?」


そう聞くと「今日とは違う。もっと明るくてクラスの中心にいた」と、紗英が教えてくれた。


やっぱりそうなんだ。


明るい駿と、大人しい駿が交互に学校へ来ている。


あたしは気が付かれないように唾を飲み込み、自分の席に座った。


駿と桜子の会話を聞きたかったけれど、さすがにここからでは聞き取ることができない。


近くに立っていたとしても、きっと聞こえて来ることはなかっただろう。


そのくらい小さな声で会話を続けていた。
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