雪の降る日に、願いを消して
残酷
紗英はいつから聡樹の事が好きだったんだろう?


今の今まで気が付かなかった。


自分の事で精いっぱいで、紗英の気持ちに気づく事ができなかった。


あたしは1人教室のベランダで頭をかかえた。


あたしは紗英に何と言ってきただろう?


聡樹との関係はただの友人関係だけれど、紗英の目にはどんな風に映っていたんだろう?


考えれば考えるほど息苦しくなっていく。


呼吸を整えるためにあたしは冷たい空気を肺一杯に吸い込んだ。


その拍子にせき込んでしまう。


「大丈夫?」


その声にハッとして顔を上げた。


目の前に駿……いや、ショウが立っている。


あたしを覗き込んで心配そうな顔をしている。


あたしは咄嗟に逃げようとしたが、ベランダで座り込んでいたのですぐに逃げることができなかった。


「別に……大丈夫」


そう言い、ショウから視線を逸らせた。
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