雪の降る日に、願いを消して
最後の1つ
降って湧いた一筋の光。


この小さな街の警察とは違うから、可憐さんのお父さんに屈する必要もない。


いくら警察上層部の人間と繋がっていようとも、前田先輩のお父さんの前では敵ではない。


前田先輩の叔父さんがこの街に来るのは明日から一週間。


一週間後には何かが変わっているかもしれないと言う事だった。


駿とショウ、それに可憐さんも今の人生から抜け出すチャンスなんだ。


そうとわかるとソワソワしてしまって落ち着かない。


クラス内に溶け込んでいるショウの姿を目で追いかけてしまう。


前田先輩の案をショウには伝えていなかった。


伝えれば応援してくれるかもしれなかったが、万が一失敗した時の事を考えて反対される可能性もあったからだ。


可憐さんを救出することに失敗すれば、事態は更に悪化する。


可憐さんも駿も、もっとひどい目にあうかもしれない。


そう考えるとあたしもとても恐ろしかった。


今までみんなが見て見ぬふりをしていたことを、目前にさらそうとしているのだ。


とても怖いけれど、これはいつか誰かがやらなければいけないことなのだ。


ずっとこのまま、何も知らないフリなんてできるわけがない。


動くなら、今しかないんだ。
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