雪の降る日に、願いを消して
風邪
聡樹と付き合い始めた翌日。


朝から体が重たく、喉が焼けるように痛んだ。


起き上がる事も億劫でベッドの上でぼんやりと天井を見上げていた。


さっきお母さんが学校に連絡を入れてくれて、休むことが決まった。


脇の下に挟んでいた体温計がピピピッと鳴って、あたしは体温を確認した。


38度5分。


それを見た瞬間、更に体が重たくなった感覚がしてあたしは寝返りをうった。


頭が痛い。


熱のせいか自然と涙が出てきて視界が滲んでいる。


少しせき込んだだけでひどく体力が奪われる感覚。


完璧な風邪だった。


最近気温はぐんぐん低くなっているし、そんな中寝不足だったり食欲がなかったりしたのが悪かったのだろう。


あたしの体は風邪の菌をやっつける抵抗力を無くしてしまっていたようだ。


「鈴、熱はどう?」


部屋の外からお母さんのそんな声が聞こえてくる。
< 96 / 312 >

この作品をシェア

pagetop