フォーチュン
まだアンジェリークの場所が特定できたわけではないが、アンジェリークは生きていると「分かった」だけでも、一歩前進したような気持ちになるものだ。
その場の空気が和み、士気が上がったのを、皆感じていた。

「だからといって、外の世界を彷徨(さまよ)うアンジェリーク様には、常に危険と隣合せな状況であることをお忘れなく」

愚者のその言葉で、その場がまた緊張感に覆われる。

「愚者よ。アンジェリーク皇女が今現在どこにいるのか、場所を特定できるか」

低く威厳を持った声でマクシミリアン国王が問いかけると、愚者は軽く頷き、「死神」のカードをテーブルに置いたまま、タロットをまたシャッフルし始めた。

< 126 / 318 >

この作品をシェア

pagetop