フォーチュン
感極まったアンジェリークは、イーディスにガバッと抱きついた。

あぁ、なんて私はツイているのかしら!
出会う人皆、私の手助けをしてくれる。

「・・・ありがとう、イーディスさん」
「あ、ああ、うん」

あーああ、純粋に喜んじゃって。
馬鹿としか言いようがないね、まったく。
この子は人を疑うってことを知らないのか?

身寄りのいない若い娘。
まさに伯母さんの「宿」で働くのに好都合じゃないか。

イーディスは、アンジェリークの背中を優しくトントンと叩きながら、唇の片方をニヤリと上げた。

もしそのとき、イーディスの顔をアンジェリークが見ていたら、悪意に満ちた笑みに対して、不信感を抱いたかもしれない。
しかしその時点で、アンジェリークはイーディスの企みを見破ることはできなかったし、彼女の本当の姿も見えていなかった。
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