フォーチュン
「皇帝?」
「場所の特定ができるような絵でもないしな」
「・・・ハイゼンブルグ帝国」

ユーリスの声に、皆一斉に息を呑む。

「現在はランスロット皇帝が統治をしております」
「あそこには港があるよな」
「プリウスから移動できない距離じゃない」
「それに、エクリア海を渡るドラーク行きの船があるはずだ!」

うわ。やっぱ愚者ってすげーっ!

コンラッドは、思わず愚者のほうを見た。
すると、真っ黒な隠者のローブに身を包んでいる小柄な愚者の外見が、とても若く見えた、ような気がした。

あれ?また夏至祭のとき見えたような・・・。

コンラッドがパチパチと瞬きをした間、愚者はまたカードを一枚置いた。
そのときはもう、愚者の外見は、普段の「老体」に見えていた。
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