フォーチュン
翌日。
ユーリスは、マダム・ナタリアの娼館に来ていた。

「マダム・ナタリアの情報のおかげで、アンジェリークを見つけることができた。感謝している。ありがとう」
「どういたしまして。それよりワタクシ、ルッソのことが、前から気になっておりましたの。以前から良い噂を聞きませんでしたし。ハツカリはルッソにとても相応しい償い場だと思いますわ」

マダム・ナタリアは、扇子で口を隠しながら、ホホホと控えめに笑った。

「アンジェリークもここへ連れて来ようかと思ったが、まだ両親にも正式に会わせていないのでな」
「お気になさらず。そのレディには、じきにお会いできますでしょ?」
「そうだな」とユーリスは言うと、フッと笑った。

「ユーリス様がご希望でしたら、そのレディの教育を致しますわよ」
「いや、結構だ。俺が手とり足とり教えこむ」
「まぁ」とマダム・ナタリアは言うと、扇子で口を隠したまま、クスクスと上品に笑った。
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