フォーチュン
それから二日後。
アンジェリークはユーリスを連れて、バルドーの街に来ていた。

民と違わない服装をしている二人を見て、大国の王子とこの国の皇女だとは、誰も思っていないようだ。
そしてアンジェリークたちが会っている二人も、気がついていなかった。

「良かったねぇ、アン。コンラッドに会えて」
「はい。私たち、結婚しますと、どうしてもお二人に報告したくて」

やはり「コンラッド」と名乗るんじゃなかったと内心思いながらも、ダテ眼鏡の向こうにあるユーリスの青灰色の瞳は、微笑で細められていた。

笑みを向けられたハンナの頬は、条件反射のように少し赤らむ。
それをチラッと見た夫のヤンは、しょうがないという感じで顔を横にふった。
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