フォーチュン
「ごめんね、アン。私が風邪をこじらせてしまったばかりに、あなたに嫌な大役をさせてしまって」
「い!いえっ・・・いいの、本当に。ってアナが病気になったことが良いのではなくて!」
「分かっているわ」とアナスタシアは優しい声で言いながら、アンジェリークに微笑みかけた。

「でもアンは、こちらに戻ってきてから様子が変だわ。まるで魂を抜き取られたようにボーっとしていることが多いし。宴では余程嫌な思いをしたんじゃないの?」
「う、ううん。いえ、そんな・・・こと、ない」

だって、王宮での宴には、恐らく5分もいなかったし。

それでも言いよどむような口調と、やはりボーっとしているアンジェリークの様子を見たアナスタシアは、アンジェリークを安心させるように、そっと頭をなでた。
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