死神のお仕事



(美しい街だな…)


アルフは、その街で一番高いと言われているビルの屋上から、街を眺めていた。


サーッ…

やわらかな陽射しの中、微かに風がアルフの髪を揺らす。



今回の彼のターゲットは、この街に住む十歳の少年。



(いつまでもこうしていたいが、行かなくてはな。)


名残惜しそうにゆっくり翼を起こす。


そしてバサ…バサッ…と目的地へと飛び去るのだった…。













パサッ…パサッ…。



(ここだな。)


目的の家の屋根に降り立つアルフ。


黄緑色の屋根に、薄いオレンジ色の壁。


ようやく人一人通れるぐらいの広さしかない庭に、犬小屋が一つ。

犬は眠っているようだが、アルフの位置からは犬の姿は確認できない。
< 104 / 227 >

この作品をシェア

pagetop