恋の歌が響くとき
 
意地悪そうに笑ってそう言った那奈をぎろりと睨む。


あの日、タイミング悪くその場に居合わせてしまった那奈には一応一通り話してあった。


それに那奈には普段から私の厄介な恋の話に付き合ってもらってるからね。チャラすぎて意見は取り入れられないけど、私のいい相談相手になってくれている。


「盛大に振られる予定だから、その時は慰めてね」
「ふふっ了解ハニー」


ここで大丈夫だよとお世辞を言わないあたりが那奈らしい。そんな王子様の頭に顔を乗せ、一緒にニュースサイトを眺めていると凛と空が戻って来た。いよいよ本番が近い。


「零、ちょっといいか」


私と那奈を見るや否や、不機嫌そうにそう言った空に続いて仮設テントを抜け出す。


ステージでの段取りは完璧に頭に入っているが、何か変更があったのだろうか。

 
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