素直の向こうがわ


この日の講習は午前中だった。

おそらく河野が参加している講習はハイレベルクラス。
そして私は基礎クラス。

同じ時間帯にやっている時もあれば、全然違う時もある。

講習が始まる前も、帰る時も、偶然廊下でばったり会わないかななんてそんなことばかりを考えていた。


「今日はお昼食べてく?」


講習が終わり教室から出ると薫が提案して来た。


「いいね。どうせだから食べていこう」


私と真里菜もすぐに同意して、どこで食べようかなんて話をしながら廊下を歩いてた。

真里菜や薫と話しているはずなのに、私の目はその姿を絶対に逃したりはしなかった。


あ――。河野。


向こうから歩いて来る河野がすぐに視界に入る。
そして私は立ち止まってしまう。突然立ち止まるなんて、どう考えても怪しいのに足が動かない。


「フミ?」


一緒に付いてこない私を不思議そうに真里菜と薫が見ている。
そして、河野が近づいて来た。


「よお」


そして、あいつは私に目を向け立ち止まった。

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