素直の向こうがわ



その夜は、あまりの興奮でなかなか寝付けなかった。


あの短い時間で、私の気持ちは急転直下で目まぐるしく変化して。
だから、今もなお心の中はまったく落ち着かない。


『おまえと同じ気持ちだから』


そんな言葉がもらえるなんて思いもしなかったから、何度も思い出してはベッドの中で悶える。


でも……。
次の瞬間考えてしまうのは、脇坂さんのこと。
こうなるとは思ってもいなかったとは言え、結果として私は彼女に酷いことをした。


「脇坂のところにさっき行って来た。これからはおまえを通さず俺に直接言えって」


学校からの帰り道、河野がそう言っていた。
彼女が河野に想いを告げたのかどうかは聞けなかった。


でも、ちゃんと、彼女に言わなければ。

伝えたからと言って、彼女の気持ちが楽になるわけではない。
もしかしたら、自己満足なだけかもしれない。


でも、私はまだ彼女に河野を好きだっていうことを言っていない。
それだけはちゃんと伝えなければと思った。


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