素直の向こうがわ
後悔――。後悔ばかりが押し寄せる。
何をしていても後悔ばかりが頭を埋め尽くす。
『あんたにこれ以上借り作りたくないし、面倒みてもらう筋合いもない』
どうしてあんなことを言ってしまったのだろう。
河野はただ、力になってくれようとしただけ。
そこに筋合いも貸しを作ろうとも思っていなかったはず。
あの時の河野の表情が何度も蘇る。
そのたびに胸が痛んだけれど、どうしても追試にだけはパスしたくて必死に勉強した。
それは私にとって久しぶりの勉強だった。
プリントを代わりにやってくれて、それなのに代わりにやってしまったことを詫びて来た河野。
パスしたからと言って河野に報告出来るわけでもない。
だけど、どうしてもちゃんと追試に合格して、河野との時間を無駄にしたくなかった。