意地っ張りの涙(仮)
教室に着くと鞄を置きにお互いの席に別れる。でも席が近いから話をしながら真新しい教科書やノートを机の中へ入れる。下降していた気分も里緒菜と一緒にいることでだいぶ上昇している。

まだ凌平も…夏目も登校してないようだった。

少しだけ顔を傾け、隣に視線を向けていた私の耳に廊下にいる女の子たちの声が入ってきた。

「里緒くん~!」

黄色い声が聞こえた。

(り…お…くん?)

そんな男の子がうちのクラスメートにいたっけ?
まだ名前も顔も覚えてないからわかんないなぁとぼんやり考えていたら「はいはーい♪」と準備を終えた里緒菜が私の前の席に座り、手を振りながら返事をしていた。


「あんたが…里緒くん?」

震える指で里緒菜を指すと

「うん、あたしが里緒くん。しっくりくるだろ?」

しっくりくるというか違和感が無さすぎだ。
返事を返されて嬉しかったのか「きゃ~!カッコいい~!」と女の子たちが悶えていた。

中学の時から長い髪を一つに縛ってて、それがまた凛々しくて女の子に人気があったっけ。
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