恋トレ~この恋お手柔らかに~

俺好み?!

「な~に浮かない顔してんの?さっきからため息ばかりだよ」

昨日の初教室の事を思い出し何度もため息が出てしまっていた。

「それがね~・・・」

私は恵子に出張教室での事をかいつまんで話をした。

すると恵子の口角がぐ~んと上がった。

「へ~そうなんだ。で?恋煩いのため息を着いていたわけか~」

「こ、恋煩い?そんなんじゃないって」

たしかに、初めて会った時はかっこよくてドキドキしちゃったけど

イケメンを振りかざしてキツいことを言ったかと思えば急に優しい言葉をかけられ

そうかと思えばいきなり私を呼び捨てで呼んだり・・・・・・

とにかく普通じゃなかった。

そんな我が道を行く様な人に振り回されて、今後大丈夫なのか不安なのに何が恋煩いですか!

私は首を横にぶんぶんふりながら否定した。

「でも楽しそうじゃん。大体、イケメンなんてそうそう目の前に現われたりしないよ。
楽しんじゃいなさいよ」

元気づけるというよりも単に楽しんでいるだけの恵子の言葉に私はあからさまに

口を尖らせる。

だけど恵子は顔色一つ変えず、ニヤニヤしたままだ。

「イケメンだからといって何をやっても言い訳じゃないの」

イケメンは遠巻きで見ている方がいいのだ。

こんな近距離では指導されても頭に入らない。
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