偽王子と嘘少女
会えた。
声が聞けた。
それだけで嬉しいはずなのに、今はさらに欲深い願望がある。
『私は藤堂くんは付き合っていない』
そう伝えたいんだ。
「よし、今ならいけるんじゃない?」
紫水くんの当番が終わった頃、希子が私にエールをおくる。
「ちゃんと頑張ってきな。大丈夫、かぐやなら出来るよ!」
「…うん、分かった」
希子の素直な思いに、私も背中を押された。
大丈夫。
私なら出来る。
希子に言われたことを、何度も心でリピートする。