情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
「何で、こんな所で寝てるんですか?」

「ん、あ・・・」

「蓮様・・・」
神尾さんが給湯室に入って来た。


「どうした?神尾。目が潤んでるぞ」

「副社長室に居ないから…どうしたのか心配したんですよ」

「ホテルに帰る時間もなかったから・・・ここで夜を明かしただけだ」

「…こんな所で寝たら、風邪引きますよ。蓮様」

「神尾はマジで心配性だな・・・」

「ともかく、先に着替えた方が・・・」

「そうだな・・・」

蓮さんは立ち上がって両手を高々に上げて背筋を伸ばした。


「蓮さん、足許に何か落ちてますよ」

蓮さんは慌てて足許に落ちていた銀色のウィッグを手に取った。


「それってウィッグですよね」

「昨日の会食の余興を使ったんだ・・・ははっ。それよりも眠気を何とかしたい。コーヒーは濃い目で頼む」

「分かりました」

蓮さんは慌てた様子で給湯室を出て行った。
神尾さんは蓮さんの後姿を心配そうに見送った。

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