情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
素面で話をしているけど、心臓はドキドキしていた。

―――――六年振りに再会する初恋の人。


「君は蓮の秘書で婚約者らしいね」

「秘書は秘書ですけど・・・婚約者と言うのは・・・」

桐生家当主である会長には認知されていないし、初恋の人の諏訪部先輩には蓮さんの婚約者だと思われたくなかったから曖昧に返した。

「蓮はひねくれているから・・・スキならスキともっと早く言えば良かったのに」

諏訪部先輩は味噌汁を啜った。


「お爺様は反対しているらしいけど・・・俺は賛成だよ」

初恋の人にそんな風に言われると切なくなる。


「諏訪部君、ここに居たの・・・」


諏訪部先輩の空いた隣の椅子に白衣を着た美女は腰を下ろす。

「椎名先生」


「目の前に座る彼女は誰?諏訪部君」


「金森日葵さん。蓮の秘書兼婚約者ですよ」


「貴方が・・・『金森薬品』の社長令嬢・・・へぇー蓮君の婚約者か・・・私は椎名香月(シイナカヅキ)。諏訪部君と同じ東亜医科大付属病院に勤務する医師。週に一度産業医としてここに来てるの。よろしくね」

「彼女の従弟は椎名衆議員。彼女の父親は椎名衆議員の父親の弟なんだ」


「あのテレビのでよく見るイケメンの・・・じゃあの椎名財閥の・・・」


「余計なコト言わないの。諏訪部君」

椎名さんは諏訪部先輩の腕を肘で小突く。諏訪部先輩はテレ臭そうに笑った。



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