彼女が指輪をはずすとき

…って、それって私のことを好きかという質問に"はい"って答えていないとされない質問じゃ？

私は質問の意味に気づいて彼の表情を見ると、頬が赤く染まっていた。
それじゃあ、三笠くんはもしかして…

彼の頬が赤く染まっているのを見て、私も頬が赤く染まっていくのを感じた。
胸が高鳴り、鼓動がますますはやくなる。

｢その質問をされたときに、亘さんは藤堂さんの彼氏が亡くなったことを知っているんだと確信しました。だから藤堂さんは亘さんに相談をしていたのかなって｣

｢相談をしていたわけじゃないの｣

｢違うんですか？｣

｢亘さんは私が彼氏と二人でいるときに偶然道端で会って、彼氏の存在を知っていたの。そして亡くなったときに私の様子がおかしいのに気づいて、つい話してしまったの。私が彼氏のあとを追ってしまいそうなほど思い詰めていたから、助言をしてくれただけよ｣

｢そう…なんですか｣

｢感謝はしているけれど、私は人の心にずかずかと土足で入ってくるような人は正直苦手よ。これ亘さんには内緒ね｣

三笠くんは下を向いて、何も話さない。
何を考えているのだろう。
再び私たちの間に沈黙が流れた。

その間に店員さんが料理を運んできて、私たちの目の前に置く。

パスタに絡まったトマトソースに、白いチーズがよく映えて食欲をそそるトマトパスタ。
生地はパリパリで中はもっちりしていて、口にいれるとパセリの香りが鼻から抜けていくのがたまらないマルゲリータピザ。
どちらも私が好きなメニューだ。

｢料理もきたし、食べよっか｣

私はピザに手を伸ばそうとしたとき、彼は口を開いた。