クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「……今週、井村たちの結婚式だな」

「うん……そうね」

「サークルの他の連中も来ると思うんだけどさ……」

彰斗が口ごもるように言う。

他の……。あ、サークル仲間のことね。

なぜそんな当たり前のことを聞いてくるのか、最初は不思議だったけど、私はすぐに納得した。

「ああ、私達のことは誰にも言ってないし、言うつもりもないから」

わざわざ確認してこなくても、ちゃんとわきまえてるわよ。

お祝いの席で、『私、この人に捨てられたんです!』とか言ったりしないし。

「それじゃ、またね」と、私はその場を通り過ぎようとした。

「そうじゃないんだ……俺……香奈と……!」

「え……?」

少し焦ったような彰斗の声に、私は振り返った。急に、以前のように下の名前で呼ばれて、驚いたのもある。

「……香奈ともう一度話がしたくて」

はい……?





「おーい、江田!早く来いよ!」

その時、廊下の先で誰かが、彰斗に向かって叫んだ。

「すいません、すぐ行きます!」

彰斗はその声の主へ、慌てて返事をする。

「ごめん、俺、今から外回りで……」

「あ、うん……頑張って」

彰斗は急いで廊下を駆けて行った。



私も、営業部へ続く廊下を進む。

何で、さっき彰斗があんなことを言ったのか、その時の私は見当も付かなかった。




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