クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
季節がめぐっても


約一年後--






秋の穏やかな風が吹き抜ける、明るいリビング。

ソファーに座る私の腕の中で、小さな赤ちゃんがスヤスヤと眠っている。

ああ……この柔らかいほっぺ……ちっちゃな手……もう、可愛すぎて食べちゃいたいくらい!

「美羽(みう)、もう寝たのか」

圭一さんが私の横に来て座り、赤ちゃんの顔をのぞいた。

美羽、というのは、この赤ちゃんの名前。女の子だ。

「最近は香奈の腕の中がお気に入りだな」

「ええ」

私もフフッと赤ちゃんに笑いかける。






「そうしてると、本当に美羽のパパとママみたいね」

そう言いながら、笑顔で朱音さんがリビングに姿を現した。

「美羽を見ててくれてありがとう。おかげで用事が片付いたわ」

「ううん、私達こそ、急にお邪魔してごめんね」

私は美羽ちゃんを起こさないように、慎重に朱音さんに預けた。




今年の夏、朱音さんは元気な女の子を出産した。それが、美羽ちゃんだ。

今はこのマンションで、マサキさんと親子三人仲良く暮らしている。

マサキさんはあれからちゃんと就職して真面目に働いている。

娘が生まれてからというもの、最初の心配が嘘のように美羽ちゃんにゾッコンになり、仕事のない日は朱音さんの家事を手伝ったり、率先して美羽ちゃんの面倒を見るなど、ものすごいイクメンぶりを発揮しているらしい。

ゾッコンといえば、私の横にいる人も例外ではない。

あまり表情には出さないけど、姪が可愛くて仕方がないのが伝わってくる。

私も美羽ちゃんがすごく可愛くて、デート中にベビー服のお店を見掛けると、つい立ち寄ってしまって、いろいろ見てしまうんだけど、さっきまで傍観していた圭一さんの方がいつの間にか、真剣に品物を選んでたりするし。

今日も、その時に買った美羽ちゃんの服を届けに、朱音さんのマンションに少し寄らせてもらっているのだ。


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