クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
だって、あの時と、眼鏡にスーツ姿の今とでは、全然雰囲気違う……!

あの時は眼鏡もかけてなかったし、服装もラフで、それはそれでカッコ良くて…………って、そうじゃなくて!!

「あのっ、ケガ、大丈夫でしたか!?」

「あんなものはケガした内に入らないと言いましたが」

抑揚の無い声が帰ってくる。

裏を返せば「大丈夫」ってことか……。それなら、普通にそう言えばいいのに。

でも、大きなケガじゃなくて、良かった。



だけど課長は、ぶつかったのが私だってこと、知ってたの?
接点なんて、全くなかったのに。もしかして、社員全員の顔と名前覚えてるとか? だとしたら、さすが『完璧王子』……。

あ、そうだ、と気になることを思い出した私は尋ねた。

「あの彼女さん……じゃなくて、あの女性とはあの後、会えましたか?」

「なぜ、そんなことを聞くんです?」

……しまった、課長と女性の仲を聞いてる野暮なヤツと思われたかな。

「いえ、もう夕方だったし、あの辺りバスの本数も少ないから、ちゃんと帰れたか、気になって」

「あの辺に詳しいんですね」

「ええ、まあ……」

「それなら大丈夫です。車の所で、あの女性が待っていました」

良かった、ちゃんと会えたんだ。仲直り、出来るチャンスだもんね。

「何か言うことは無いのか、と聞かれたました。無い、と答えると、さっさと自分でタクシーを拾って帰っていきましたよ」

「……」

……大丈夫って、そっちの意味か。 確かに、話の流れ的には間違ってないけど。


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