ひと月の妹

秘密は続く4


前園を下がらせて・・

「違うじゃない・・・」
 
「わたくしと違うじゃない・・・」

「全然違うじゃないの」

紫藤佳代子は独りで涙を溢れさせていた。

「司さんがみかんさんとずっと付き合っていたなんて」

「実らない片思いだなんて勝手に思っていて」

「麗子の娘なのよ、やはりわたくしとは違うのよ」

(どこまで言っても麗子に勝てない気がするわ)

「麗子の遺伝子はどこまでも殿方を虜にするんだわ」


「邪魔をしてあげたのに・・・なにもかも無駄だったのね」

子供の頃から、わざと司さんのそばにみかんさんを置いたの

年頃のあの子たちが恋に落ちないように

わざと邪魔をしているつもりだった。

わたくしはうまくできていると思っていたのに・・

それなのに・・・わたくしには誰も教えてくれず

ふたりはちゃんと年頃に恋をしていたのだ・・・

(わたくしには恋が解らない・・・)

優一さんは麗子を選び、麗子に片思いをしていた

司さんの父である紫藤恭一さんにお金でわたくしと結婚をさせた。





 

 

 

 
< 271 / 302 >

この作品をシェア

pagetop