ひと月の妹

 暗くて深い夜に飲みこまれる

 漆黒の瞳をした魔物は

 私のすべてに消毒をした。

 紫藤司さんの腕の中で 私は

 どんどん小さくなるみたいだ

 消毒されることなんて

 私には一つもないのに・・・

 「あの男の事なんて なにひとつ

  憶えておかなくていいんだ」

  紫藤司さんは知らなくて間違っているわ

 「彼とはそういうことは何もなかったのよ」

 「あの男 みかんに何もしなかったのか?」

 私が肯くと漆黒の瞳の魔物は小さく微笑むと

 優しく私を抱きしめた。

 でも、今確かに 彼が初めて 私の名前を呼んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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