ひと月の妹

なかったことに


ただ 独りになりたかった。

誰にも会いたくなかった。

どこかに行ってしまいたいのに・・・

どこへも行けないのね・・・

いろんなものがわたしをここに

止(とど)まらせるから・・・
 
『幼馴染』

誰にも知られていない恋心のように

わたしだけしか憶えていないんだ・・・

悲しくて、とても哀しいのに・・・


気がつくと・・・

わたしは、歩道橋の上にいた。

車の流れをぼんやり見ていた。

本当は泣きたいのに・・・

(泣くこともわたしはしない人なのね・・・)

頬を触っても夜に冷やされて

肌は冷たいだけなの

今は星(アカリ)ちゃんの顔を

自分の両手が軽く支えていた。



 
 

 
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