恋愛の始め方
「お前、今日のシフトは」

「当直」

「なら、まだ時間あるな」


そう言うと、彼はまたあたしにキスをする。


「嫌なら拒め」


あたしはゆっくりと瞳を閉じる。

それが同意だと受け取った彼は、ゆっくりと胸元へと顔を埋めた。

体は素直に感じ、自然と声が漏れる。

快楽には、逆らわない。

一瞬の温もりを求め、快楽にのめり込み、抜け出せなくなった。

恋人を作れば、変な罪悪感に襲われることもない。

だけど不規則な勤務をしていると、そう上手くいかない。


『俺より仕事なんだな』

『強い女だから、俺は必要ないだろ』


振られる時に、いつも言われる言葉。

それに、疲れた。

仕事で疲れてるのに、恋愛にまで体力を使いたくない。

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