どん底女と救世主。


そう自分に言い聞かせていたとき、ふいにお昼休憩終了のチャイムが鳴り響き自分が会社に居たことを思い出す。


ここ最近、ずっとこうやって自分自身を言い含めていて。
気付けば時間だけが過ぎていく。


この時間の私は、中々にぼうっとしているらしく、派遣の澤田さんにまでも『何かありましたか?』と余計な心配をさせてしまったほど。


気合い入れなきゃ。


そう仕切り直して午後の仕事に取り掛かろうとしたとき、『冴島さん、』と遠慮がちな声がした。

振り向くと、そこには中田君の姿が。


「どうしたの?」

「今夜行けそうですか?」

「え、今夜?」


え、なに?今夜って、何かあったっけ?
中田君の唐突過ぎる質問に、頭は疑問符ばかり。

混乱する頭では、どうしても答えが導き出せず、卓上カレンダーに目をやった。

すると今日の日付には、赤い丸、そして大きく『営業部忘年会!』の文字が。


あ、しまった。すっかり忘れてた。

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