どん底女と救世主。





着いてしまった…。

結局、一言も会話のないままに家まで着いてしまった。

無言のまま靴を脱ぎ、さっさとリビングへと入ってしまう課長の背中を慌てて追いかける。


「課長、さっきはありがとうございました」


やっと出たお礼の言葉にもなんの反応もなくて、焦った私はぺらぺらと余計なことまで話してしまう。


「でも、あんなこと勝に言って良かったんですか?まるで、私たちが付き合ってるかのような」


ああ、なに言ってるんだろう。
素直にお礼だけ言っておけばいいのに。


分かってるけど、でもどうしても助けてくれた意味を知りたくて。

期待するような答えなんて返ってこないことも分かってるはずなのに。


「迷惑だったか?」


やっと口を開いた課長はなにを考えているか分からない表情だった。

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