どん底女と救世主。


さっきの触れるだけのものとは違う。
今度は息をするのも忘れるほど、深い深いキス。


なんで、私課長とキスしてるの?

そんな疑問が頭を占めるけど、すぐになにも考えられなくなる。


今頃になってアルコールが回ってきたのか、頭の中が真っ白だ。

身体の熱が急上昇していくのが分かる。

口の中が熱い。身体が、身体の奥が熱い…。


もう、なにも考えられない。


与えられる快感に、ついに思考を手放した私は課長の首にしがみついた。


「んっ…!」


それが合図だったかのように、深さを増した口づけに溢れる吐息は冷たい部屋に溶けていく。

目尻が冷たい。
浮かんだのは、生理的な涙かそれとも。


「冴島」

艶っぽくそう呼ぶから、もうどうでもよくなってしまった。

「か、ちょ…」


課長が私のブラウスのボタンを器用にひとつひとつ外していく。


これから課長がなにをしようとしているのか、機能しなくなった頭でも分かる。


だけど、私にそれを拒む真面目さも聡明さもなくて。


ただただ、課長にすべてを委ねた。



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