どん底女と救世主。

でもやっぱり、


「違うよ、それも深山課長は部下想いだから」


住むところがなくて困ってる部下に、住む場所を与えてくれた。ただ、それだけ。

絵理たちの前ではっきりと口にし、また胸の奥がちくりと痛む。

だけど、それでいいんだ。


「ねえ、咲?」

「ん?」

「それ、自分に言い聞かせてない?」


絵理のその一言に息がつまる。


「そんなこと…」

「本当は分かってるんじゃないの?ただの部下にそこまでするわけないって」


追い討ちをかける様に畳み掛ける絵理に、もう言い訳は通じない気がした。

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