どん底女と救世主。


まあ、今から気を落としても仕方がない。
気合い入れていこう。

これは、そのためのお化粧だ。


チークを入れると、最後は気合いの印に紅いルージュをひと塗りして完成。


襟元に刺繍が入ったカットソーにブルーのスキニーを履くと、部屋を出る。


休日としては朝早い時間。課長もまだ起きている気配はない。


良かった。

だって、どこに行くんだって聞かれて、うまく嘘なんてつけそうにない。


ほっと安堵のため息を吐き、最終チェックをする。

課長用の朝ごはんは、近くのコンビニで買ってきた食材で申し訳ないけど、味噌汁とサラダと焼き魚を用意した。


昼食は仕事中でも摘めるようにサンドウィッチを。

でも、課長は意外とよく食べることを昨日知ったから、サンドウィッチの中身は卵やトマトの他に、カツやチキンの照り焼きを用意した。

完全にボリューム重視だ。


最後に、朝食と昼食の説明、出掛ける主旨を書いた置き手紙を残し、マンションを後にする。

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