エナジーバンパイア
妹がうちに来てからもう16年になる。恋愛の話なんかもする「今日花屋で運命的な出会いをしたんだ」「どんな人?」「黒目勝ちで、切れ長でスタイルがいい少し細めの女性なんだけど」「どうしてお兄ちゃん別に面食いじゃないし顔で選ばないでしょ女性?」「顔では選ばないけど運命を感じたんだなんだか。」「へえ、あってみたい」「花やいけば会えるよ」「花屋でその人働いてるんだね」「うん」「いいんじゃないのもう千里さんと別れてから1年半たつし」(千里っていうのは僕の前の彼女で一年半前に僕が振られる形で別れた)
「そうだよね、もう次の彼女がいてもいいよな」「うん」「でもその人彼氏いるかもよ」「いるのかな?」「きれいなんでしょいるでしょ」「いるのか」「わからないけどね」そういうとまた大きい目をくりくりさせて意地悪そうな顔で僕の顔を覗き込んんだ。

「聞いてみればいいよ彼氏いるかどうか」「勇気ないよ」「どうやって」「じゃあさ、毎日一本づつ花を買いに行くっていうのどう?」「ガーベラ、最初に作ってもらった花を一本づつ買うの」「変じゃないか?」「変だよ」「でもそのぐらいしないと彼女にはなってくれないかもよ」「そうか」「誠意みせなきゃ」「誠意ね」「うん」「誠意」


次の日から、毎日僕は花屋に一本づつ花を買いに行った、そうこうするうちに、彼女の名前は亜希子って言うことがわかり、今は年老いた母親と2人暮らししてるということを聞いたなんでも彼女の母親は寝たきりで認知症を患ってるらしく、相当苦労してるらしいこともわかった。「今は認知症の特効薬もありますからね」「大丈夫ですよ」「お母さんも今によくなりますよ」

そういうと彼女は辛そうににっこり笑った。


僕は何か助けになりたいと想い、いろいろ話を熱心に聞いてあげた。なにか役に立ちたいという気持ちでいっぱいだった。彼女がエナジーバンパイアとはつゆ知らずに。


毎日買いに行くうちに僕らは打ち解けて行った、いろいろな話を聞いた彼女も大学を中退したらしく母親の介護のために。孝行娘だという印象を持った、聞けば彼氏とはもう3年前にわかれたきり、今は彼氏はいないという。


「じゃあ僕立候補していいかな」「私なんかでいいんですか、もっとあなたならいい人見つかるのに」「お医者様と花屋の店員なんて」「でも僕はそれでいいと思ってるから」


それから僕たちは、彼女が花屋で働かない金曜日に会うことになった。


聞けば聞くほど苦労してる男に借金を肩代わりさせられ借金のしりぬぐいをしたとか、その男もすごく女癖が悪くて彼女は散々泣いたとか。

やっと3年前に別れたけど心の傷になっているらしくなかなか認めてくれない、信じてもらえないだった。

少しづつ誠意を見せつづけて僕は彼女の心を少しづつノックした。


すこしづつだけど心を開いてくれるようになった、初めはすごく壁をつくられた。


一週間あった話を金曜日に聞くことが多くなった、割と無口だと思っていたけど結構話し好きな女性で僕は以外だった。

ただ彼女と会った日はなんだか昂揚感はあったがすごく疲れた。


体重は痩せてくしなんでなんだろう、不安感とかは割となかったが。


次第に彼女はわがままを言うようになった、初めはかわいかったがやきもち焼きで


たまに携帯見せてとかいうからまいった。


それでも僕たちは5年付き合った、そして5年目の冬の日ベッドインした。



(美人薄命)そういう言葉がすごく似合う人だった。






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