年下男子とリビドーと

わたしの首筋にキスしながら、段々とベッドににじり寄る。
そして、押し倒された。
わたしの身体に優しく触れながら、ブラウスを脱がされる。
身体中にキスの嵐を浴びせられた。
鎖骨、二の腕の内側、脇腹、そしてブラジャーの中。

わたしはぴくっと身体を震えさせながら、紘希の首にしがみついた。

その瞬間、脳裏に浮かんだのは成海くんだった。

驚いて、閉じていた瞼を開く。
紘希の腕の中に抱かれながら……あの日もたれかかった成海くんのか細い身体を、思い出した。
愛おしそうな紘希の瞳と目が合う。
涙が溢れそうで、再び瞼を閉じる。

わたしは最低だ──


拒むことも出来ずに、そのまま行為を終えた。
何てことをしてしまったのだろう。

ベッドの中で、紘希に頭を撫でられていた。
目を閉じたまま、紘希がつぶやいた。

「……なんかちょっと、弱っててさ。仕事でもトラブルがあったし」

大変な時にわたしを必要としてくれたのは、とても嬉しかった。

「そういう時も、あるよね……」

わたしは微笑みながら答えを返した後、笑顔を保てなかった。
ぼんやりと虚ろな目をしているであろう自分が、想像出来る。


紘希のことは、好きだよ。

だけど
成海くんが、頭から離れてくれないよ。


紘希とは違う、危うさを持った成海くん。
この間理性を無視した時、何処かで気付いていた。

わたしは、もっと成海くんのことが知りたかった。

紘希と会えば、気持ちは変わるかと思っていた。
気のせいだったと、安堵出来るんじゃないかって。

断ち切れないのなら、わたしは
決断しなければいけない──

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