年下男子とリビドーと

わたしの身体は成海くんの腕にぎっちり抱かれていて、抵抗出来ない。

長いキス。
そして、舌が入って来た。

こんなの駄目……。
そう思うのに、身体が、彼を受け入れてしまう。
触れたところ全部が、成海くんが好きだって、言ってる。

いつの間にか、わたしの脚の間に、彼の脚が差し込まれている。
心臓はパンクしそうなほど高鳴って、止みそうもない。

気持ち良い……。

でも……わたし、まだ紘希と別れてない。

「ん……ふっ」

恋愛に溺れる感覚を、思い出した。
結婚とか釣り合いとか関係なく、ただ目の前の人が好きだと、求める気持ち。

そうか……とうに終わっていたのか、紘希との関係は。
あんなにキラキラ輝いていたわたしたちの日々は、既に過去なんだ。
その事実に気付いてしまった。


わたしの頬が濡れていることに気付き、成海くんが顔を離した。
わたしの目からは涙が溢れていた。

「……返事、してないっ、のに……」

わたしの顔を見た成海くんは困惑していた。
その隙に、成海くんの体をどんっと押し退けた。

それでもやっぱり、“好き”だけじゃ、一緒に居られない。
関係は、続いていけない。

「こんなっ妙齢の女子に手出して……覚悟出来てるんでしょーね」

きっと睨みつけると、衝撃の返事が来た。

< 49 / 73 >

この作品をシェア

pagetop