年下男子とリビドーと
勢い余って階段を踏み外し、踊り場の成海くんの上に倒れ込んでしまった。
「わーっ、ごめんねっ!?」
「いて……はは、莉南さん勢い付け過ぎ」
成海くんが笑顔を見せた。
久しぶりに、心からの笑顔を見られたような気がした。
名前で呼んでくれた……。
嬉しくて、心臓が高鳴ってしまう。
「……あのね、わたし、正社員に採用されたよ」
そのままの姿勢で、成海くんを真っ直ぐ見つめた。
「ほんとですかっ!? おめでとうございます!」
驚きと喜びに満ちた表情で答えてくれた。
そして、嬉しそうにつぶやく。
「そっか……莉南さん正社員受けたんだ」
「……成海くんのおかげだよ」
「俺なんもしてないし。莉南さんが頑張ったからでしょ」
優しく微笑み返してくれた。
その暖かな笑顔に気が抜けたのか、突然涙が溢れてしまった。