時間
やっと退屈な1日がすぎ、夏休み最後の1日亜美はふと思い出した。
夏休みに入ってすぐの夏期講習の時、友達の梨子と沙織里と約束をしていたことを。
確か今年の夏休みの宿題が多いから皆で勉強会をしようと話していた。
あれから何度か電話をしていたが、梨子は母親実家に帰ったり、沙織里は中国ヘ旅行に行き、3~4週間のはすだった旅行がなんと、まるまる1ヶ月中国で過ごす事になったり、タイミングがまるであわない。他の友達にも電話をしていたが、サマーキャンプだの下手な言い訳を並べて断られるだのなかなか遊べない。
男子に電話なんてもっての他。退屈な時の計画を実行するために電話した時なんか、心臓がドキドキいってパンクしそうだったのに。
(あーあ。あともう少しで今日が終わる。明日からは、また皆に会える~!!)
と少しでも前向きに考えていたとき、
「早くそこをどけ!邪魔だ!」と
掃除機片手に仁王立ちしている父親に怒鳴られてしまった。
(そんなに大声出さなくても聞こえるのに。)と亜美は思った。
最近、父親が妙にピリピリしているのだ。
(私に八つ当たりしないでほしいわ!)と亜美は内心思っているが父親に本当の事を言ったら何をされるか分からない。
ついこの間だって、亜美の言い方が気に入らなかったからって、足や背中などを蹴ったり殴ったりした。
そんな生活が嫌で、単身赴任中の母親に相談してみたけれど、
「またパパに叩かれたの?何かされた?」の繰り返し。ただ話を聞いてくれるだけでよかったのに。そのあとも電話をすれば「何かされた?叩かれた?」亜美が否定すると、「ちゃんと言って。隠さないで。」亜美は、何も隠してないし何もされてない。そりゃ母親の気持ちを考えれば分からなくもないし、何かと我慢してきた。だけどこれにはもう、正直言ってうんざりだ。ついに母親に怒鳴ってしまった。そばで聞いていた父親はかんかんだ。
「もっと優しく喋れないのか!女の子らしくしろ!」と父親のいつもの口癖だ「女の子らしくしろ!」と言われてもどうすることもできない。
あー学校行きたい!!
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