願うは君が幸せなこと

「初めて会った日、お前が何度も謝ってる姿を見た時から、俺はお前の笑顔が見たかった。幸せそうなところを見たいと思った。……いつの間にか、俺の影響でそうなればいいと思うようになっていったんだ」

手を握った方と反対の手を、そっと頰に添えられた。
その温かさで、緊張しきっていた体から少しずつ力が抜けていく。

「好きだよ。俺がお前を幸せにする」

その瞬間、涙が一筋頰を伝った。
そんな私を見て、月宮さんがまた笑う。

泣くなよ、と言って額をこつんと合わせられて、私は思わず目を閉じた。

すると今度は、唇を合わせてくる。
二回目のキスだった。
一回目のキスよりも優しくて、甘くて、幸せで。

やっと想いが通じ合った。
その嬉しさで、お互いに離れがたくて、何度も何度もキスをした。

このままずっと一緒にいたい。
きっと月宮さんも、同じことを思ってくれている。

ようやく唇を離した後、途端に気恥ずかしさが襲いかかってきた。
ここが会社だということも忘れて、あまりにも夢中になり過ぎた。

また額同士をくっつけて、お互いの目を覗き込んで、二人でくすくすと笑い合った。

「月宮さん」

「ん?」

「私も、好き」

勇気を出してそう伝えると、今度は首の後ろに手を添えられて、さっきよりも少し強引に唇が重なった。



”俺がお前を幸せにする。”

その言葉は、きっといつまで経っても忘れないだろうと、月宮さんの腕の中で思った。


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