願うは君が幸せなこと

夏美と話し終えて、一緒にエレベーターで一階まで降りてきた私達は、帰り道が逆方向なのでそこで別れた。

夜道を一人で歩きながら、怒涛の二日間を振り返る。

昨日から今日まで、色々なことがあった。
悲しいことのほうが多かった。傷付いたし涙が出たし、裏切られたような気持ちにもなった。

それでも、これで良かったんだと心から思う。そのことに、自分でも驚いている。

きっと千葉さんと付き合っていなかったら、私は今でも千葉さんのことを追いかけていて、告白しようか迷っていると思う。
結局、実際に付き合わなければその人のことは何もわからないと思うから。
もし千葉さんと付き合ったことが失敗だったとしても、失敗するべくして失敗したのだ。

そして、この別れがあったからこそ、その瞬間から前を向いていけるのだ。


「……それにしても」

言葉と行動がちぐはぐな人を思い出して、思わずふふっと笑ってしまった。

苛々させられたり舌打ちされたり、かと思えば助けてくれたり。
本当に、よくわからない人だった。

もう会うことはないかもしれない月宮さんを思い浮かべながら、朝よりも軽い足取りで家に帰った。

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