名のない足跡
第三章†秋の足跡



あたしは小さい頃、雷が大嫌いだった。



…今も、苦手なんだけど。





まぁ、そんなわけで、ある日大騒動起こしちゃって。





ある日、雷が怖くて、食堂でつまみ食いしてたあたしは、近くの棚に隠れたの。



そしたら、その棚が開かなくなっちゃって…。



泣きわめいて、必死で棚の戸を叩いたのに、運悪く夜中で。



そんな時間につまみ食いしてたあたしが悪いんだけどね。



結局、泣き疲れて寝ちゃったの。





目が覚めるのと同時に、棚の戸が開いて、ライトが現れたの。



「見つけましたよ、姫様」って笑って言うのよ?



「ライト…王子様みたい!」




そう言ったのを、あたしは今でも覚えてる。








…ちなみにその日。

朝からあたしの大捜索が行われてたんだって。





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