クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
午前中に予定されていた会議から、千堂部長が戻ってきた。ノートパソコンと配られた資料を片手に携帯で誰かと話すその姿は、多忙にもかかわらず余裕を感じる。
通りすがる社員たちと目礼を忘れず、女子社員の挨拶にも微笑みを欠かさない。こんな完璧な人の下に、私みたいな地味女子がいるせいで、妬みの声は止むことがない。
なんであんな子が千堂部長の下にいるのかと、直接悪口を言っている場面に遭遇したこともある。
「残念ね、決めたのは会社よ」と言ってやりたかったけど、日陰街道を貫きすぎたのか、その場にいることさえ誰にも気づかれなかった。
「お疲れさまでした。会議、いかがでしたか?」
「おかげさまで、順調でしたよ」
部長が話し終えるのを見計らって、すかさず声をかける佳乃さんに部の同僚は誰も目を向けない。彼女が商品開発部にやってきてから1年。もはや恒例となってしまっているからだろう。
「資料も完璧でした」
「そんな、完璧だなんて」
「ありがとう、瀬織さん」
小躍りする佳乃さんの前を素通りして、千堂部長が私の隣に立った。