クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「結衣って、料理上手なんだな」

「ありがとうございます」

 できるだけ顔を見られないようにしても、すっぴんは見られているし、きっと寝顔も知られているはず。

 素顔の私と会社の仮面地味女子の私は、誰もが気付かないほど別人なのに、部長はそれに触れることなく生活を続けている。

 だから、私からも話題に上げるタイミングが見つけられなくて、なるべく会社での私と大差ないような対応を心がけているつもり。


 恋人同士のようだけど、あくまでも企画のために部長が一肌脱いでくれているだけだから。



「いつになったら、俺を受け入れるか決めた?」

「何の話ですか」

「結衣、俺を上司として見てるだろ。それじゃ意味がないってこと分からないかな」

「だって」

 無理なものは無理だ。
 いきなり千堂部長を彼氏扱いしろと言われても、名前で呼ぶだけでも違和感がある。



「……ごちそーさん。美味かったよ」

 部長は水を飲み干し、リビングのソファに大きくもたれた。


< 162 / 361 >

この作品をシェア

pagetop