クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「ランチに出てきます。急ぎの連絡があれば携帯にお願いしますね」

 決まって声をかけてから出ていく千堂部長の背中を、全員が見送る。席を外したことでホッと息をついて緊張をほぐすのは、大体が男性社員。
 部長は威圧的ではないけれど、上司がいるといないの差はないと言ったら違うはず。

 ちなみに佳乃さんは部長の後を追いたいと顔に出ているけれど、規則を守ろうと自制している様子だ。


 今日は、私が部長とランチしてきますので、なんて心の中でいつもの仕返しを呟く。日陰にいても、時々は日当たりがいい時だってあるものなのよ。


 部長がフロアを出てから3分ほど間を空け、パソコンをロックして手荷物を持ち、後を追った。



 ランチタイムは大体時間が重なるもので、混みあうエレベーターに乗り込めば色々な香りが混じり合う。

 途中階で停止しては人を乗せ、重さを増した箱はすし詰め。
 空腹のオジサマは、午前中に飲んだコーヒーの匂いを口臭に混ぜて吐き出し、女子力を正義に掲げたどこかの女性社員は、香水がきつすぎる。


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