【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「……ああ、隼大にメール送っておいたから」
ボソリと言われて、私は思わず目を開く。

「佳代は俺ン所に泊まっているってな」
くすくすと笑う。
「ということで、俺は後で
隼大に挨拶に行ってくるからな?
お前、結衣を送ってやれよ?」
「あの、挨拶って?」
思わず聞き返すと、

「そりゃ、お前のねえさん、俺が貰うからなってな」
そう言って、面白そうにくつくつと笑う。
私もそんなメールの後、
隼大にどうやって顔を合わせていいのか困るから、

「ん、じゃあ、結衣さん送ってくる……」
オネガイシマス。と彼の言葉に小さく頷く。

「ついでに麻生先生のところにも
メール送っておいてやったぞ?」
そう言いながら彼が携帯電話を枕元から引っ張り出す。
「……な、なんて??」
思わず私が聞き返すと、

『色々、余計なことまで、ありがとうな。
おかげ様で、佳代を今夜手に入れました。
大事にさせてもらいます(はぁと)』
メールの返信画面を私に見せる。
私は声にならない悲鳴を上げる。

「た、拓海の、バカっ!!!!」
叫んだ瞬間に、彼が深く入ってきて、
甘い声を上げてしまう。

「……大事にシテやってるだろ?」
意地悪く笑う彼に、
……私はあっという間に翻弄される。


出会ってから、ずっと私を翻弄し続けた彼は、
彼の言う通りなら、きっとそれは確信犯的な行動で。
ずっと、私を夢中にさせ続けていた確信犯な彼は、
やっぱりどこまで行っても確信犯的に、
きっとこれからも、私を翻弄し続けるのだ。

「……もぉ、拓海のバカぁっ……」
彼の腕の中で、翻弄される私の、
零れ落ちる吐息は砂糖菓子のように、甘い。


……結局私は、
彼が昨夜言っていたように、
壊れる寸前ぐらいまで追い込まれて、
確信犯な恋人と共に、
刺激的すぎる、朝を過ごしたのだった。




【完】
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