【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
気づけば、数日間があっという間に過ぎて行ってしまっていた。

私は実感のわかないまま、母親を見送り、
次から次へと起こる、日常の些末なことに追われていた。

それでも母はしっかりと、
死亡保障もついた保険に入っていてくれて居たおかげで、
ありがたいことに当座の生活費は何とかなりそうだった。

学校も続けられそうだ。
でも……。

忌引きが終われば、私は東京の学校に戻らないといけない。
だけど弟を島に一人、おいていくわけにもいかない。

うちは父親が早く亡くなっていて、
母親とうちら姉弟だけの、母子家庭だったから、
母が急にいなくなれば、
弟は一緒に住む大人を失うことになる。

しかも、弟を預かってくれるような親戚もいない。
私は今東京の看護学校に通っているから、
弟と一緒に住むためには、弟を東京に連れて行くか、
私が学校をやめてこっちに戻ってくるか、の二択しかない。

あと半年もすれば、卒業して、
試験に合格できれば、看護師の資格が取得できる。
でも、幼くして両親を失った上に、
友達や、生まれ育った環境とも隔絶して、
東京に連れて行くのは、隼大本人には負担が多すぎる。

私はこのまま学校をやめることを考え始めていた。
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