ケダモノ、148円ナリ
ケダモノは、やはりケダモノでした





 なんとか温泉には入らずに、家へと逃げ帰った。

「でも、もったいなかったですね、このランプ」
と見ようによっては、お洒落な緑色のランプをリビングで掲げ持つと。

「三つ買ったんだ。
 百物語でもするか」
と貴継は言い出す。

「……意味がわかりませんが」

「せっかく買ったのにもったいないじゃないか。
 各部屋にひとつずつ置いて、話し終わったら、消しに行くんだ」

「いや、それ、怖いじゃないですか~」
と言うと、

「怖くなかったら、百物語じゃないだろ?」
と言う。

「でも、三つしかないですよ、ランプ。
 百物語じゃないですよ。

 そして、三つありますよ。
 二人なのに。

 最後の一個は誰が消すんですか」

「霊だろう」

 すみません。
 しれっと言わないでください。

「大丈夫だ。
 此処でやったって出るわけないだろ。
 普段霊とか見たこともないのに」

 うちの家なら出たろうがな、と言ってくる。
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