イジワル副社長と秘密のロマンス


「私ね、ふたりと久しぶりに会うから、話したいことがいっぱいあったの! すっごく楽しみにしてたの! あぁもう、ハッキリ言うけどさ、私が聞きたいのは椿と孝介先輩の話で、袴田さんのじゃないんだけど!」

「ほんとごめんね。あとで孝介には千花のぶんまでたっぷり文句言っておくからね」


彼女は両手を合わせたまま、神妙な面持ちで私の様子をうかがっていたけど、やや間を置いてから、その口元に笑みを浮かべ、ぷっと吹き出した。


「椿! この状況、楽しんでるでしょ!」

「ごめんごめん。私も千花とのディナーが、まさかこんな展開になるなんて思ってもいなかったし……それに、袴田さんの千花に対する本気度にびっくりしてる。びっくりしすぎて笑えてくる」


本音を口にし、椿は我慢するのをやめたらしい。

白け顔の私にはお構いなしに、少し大きくなったお腹に手を添え、肩を揺らして笑い出した。ショートボブの毛先も楽しげに揺れている。

椿との出会いは高校生2年生の時だから、10年ほどの付き合いになる。

あの頃から私たちの関係は変わらない。

就職を機に互いの生活の拠点は離れてしまったけれど、いまだに頻繁に連絡を取り合っては愚痴を言い合っている。唯一無二の親友なのである。


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