宛先は天国ですか?



平気で嘘を紡ぎ出すわたしの唇。


何かあったといえばあった。

多分璃子が、わたしの態度がよそよそしくなったと感じるであろう日の前日だ。

テスト前、璃子のあとをつけようとしたあの日、将太さんと会う前に見かけた中学校の知り合いを再び見かけたのだ。

しかも今度は結構人がいて、みんな近くの学校なのか揃って帰っていた。

違う制服で、それでも違和感なく仲良さげに並んでいた。

わたしがいなくても、なにも寂しそうじゃなくて、むしろ楽しそうにも見えてしまって。

そういう、中学で何度も感じた疎外感が蘇ってきてしまって。

なんとなく、璃子や環奈ちゃんともいつか、あんな風に離れた存在になってしまうかと思うと寂しくて。

寂しい思いをしたくなくて、自然と距離をあけてしまっていた。


いきなりトンと置かれた距離に、たとえそれが少しであっても、璃子は違和感を感じたみたい。

短い期間しか一緒にいないのに、わたしの態度のよそよそしさに、すぐに気付いたみたいだ。

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